【化学の超基礎】化学反応式の作り方からモル計算までを一から徹底解説!

chemical reaction formula 化学の基礎
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こんにちは.KUT(chem_story1)です.
今回は化学反応式の考え方について初学者に向けて徹底解説していきます.

  • 化学反応式の作り方
  • モルBOXを使ったモル計算

を特にポイントとしています.昨日の自分より少しでもレベルアップしていきましょう!

 

本サイトでは,イラストや例えを多く用いて初学者にも分かりやすいように解説しています.もっと分かりやすく解説してほしいという部分がありましたら,遠慮なくブログのコメントかTwitter(chem_story1)までご連絡ください!

そもそも化学反応式ってなに?

化学という科目は,反応前と反応後の物質を考える学問です.そのときに大切なのが化学反応式です.

 
例えば,下のような化学反応式を見てみましょう!

 
\(\rm{C_2H_4 + 3O_2 → 2CO_2 + 2H_2O}\)

 
この化学反応式を見ると,エチレン(\(\rm{C_2H_4}\))が酸素と反応することで二酸化炭素と水に変化することがわかります.それだけではありません.化学反応式の係数を見ると,エチレン分子\(1\)個と酸素分子\(3\)個でやっと反応し,結果として二酸化炭素分子\(2\)個と水分子\(2\)個が生成されることがわかります.図にすると,下のようになります.

combustion of ethylene

このように,各原子の繋がりを切断して他の原子とつながるようになる変化を化学変化,化学反応といいます.そしてその変化がわかるように書いたものを化学反応式といいます.

化学反応式の係数の求め方

まずは化学反応式の書き方を下の問題を例として\(3\)ステップで説明します.

練習問題 \(1\)
アンモニアと酸素が反応することで,一酸化窒素と水が生成した.
このときの化学反応式は?

ステップ\(1:\)反応に出てくる物質を書き出す

化学反応式を書くためには,まず→を真ん中に書きます.そして反応する物質(反応物)を→の左側(左辺)に,反応した結果生じた物質(生成物)を→の右側(右辺)に書きます.

今回の問題では,反応物がアンモニア(\(\rm{NH_3}\))と酸素(\(\rm{O_2}\)),生成物が一酸化窒素(\(\rm{NO}\))と水(\(\rm{H_2O}\))になります.そのため,以下のようになります.

 
\(\rm{NH_3\ +\ O_2\ →\ NO\ +\ H_2O}\)

ステップ\(2:\)化学反応式の両辺の原子の数を合わせる

先ほどの化学反応式を見ると,両辺の原子数が一致していないことがわかります.そこで各物質の前に係数をつけることで,両辺の原子数を合わせます

ここで\(1\)つポイントがあります.
それは\(\rm{O}\)原子を後回しにして考えるということです.これはなぜかというと,\(\rm{O}\)原子はよく他の物質と反応して,化学反応式のいろんなところに登場するからです.そのため最後にまとめて係数合わせをしたほうが楽チンというわけです.

なるべく登場する回数の少ない原子から数合わせをしていきましょう!
今回は\(\rm{N→H→O}\)の順に考えていきます.

 
①\(\rm{\ N}\)
\(\rm{NH_3}\)の係数を\(1\)として考えると,左辺が\(1\)なので,右辺も\(1\)となります.

\(1\)\(\rm{NH_3\ +\ O_2\ →\ }\)\(1\)\(\rm{NO\ +\ H_2O}\)

ここでは便宜上,係数が\(1\)でも明記しています.

 
②\(\rm{\ H}\)
左辺には\(\rm{H}\)原子が\(3\)個あります.そのため,右辺にも\(3\)個ある必要があります.ここで\(\rm{H_2O}\)分子にはすでに\(\rm{H}\)原子が\(2\)個あるので,\(\large \frac{3}{2}\)倍すれば\(\rm{H}\)原子が\(3\)個となります.

\(\rm{1NH_3\ +\ O_2\ →\ 1NO\ +\ }\)\(\large \frac{3}{2}\)\(\rm{H_2O}\)

 
③\(\rm{\ O}\)
最後に,\(\rm{O}\)原子の係数を合わせればゴールです!先に右辺から数えましょう.右側は\(1 + \large \frac{3}{2} \small = \large \frac{5}{2}\)なので,左側も\(\large \frac{5}{2}\)にする必要があります.\(\rm{O_2}\)原子はすでに\(\rm{O}\)原子が\(2\)個あるので,\(\large \frac{5}{4}\)倍すれば\(\rm{O}\)原子が\(\large \frac{5}{2}\)個になります.

\(\rm{1NH_3\ +\ }\)\(\large \frac{5}{4}\)\(\rm{O_2\ →\ 1NO\ +\ \large \frac{3}{2} \small H_2O}\)

 
つまり,最後に\(\rm{O_2}\)が単独で現れるので,そこで係数を調整すれば\(\rm{OK}\)というわけです!

ステップ\(3:\)化学反応式に分数があれば解消する

化学反応式を解答するときに,係数は整数にする必要があります.そこで先ほど求めた係数の分母の最小公倍数を反応式全体にかけることで,係数をすべて整数にします.今回であれば,全体を\(4\)倍しましょう!

\(\rm{4NH_3\ +\ 5O_2\ →\ 4NO\ +\ 6H_2O}\)

 
 
 
ここで化学反応式を解答するときは終了となります!\(3\)ステップと多く見えますが,慣れると簡単にできるようになりますよ!

化学反応式の意味

ではここで,化学反応式の意味を考えてみましょう.

 
\(\rm{4NH_3 + 5O_2 → 4NO + 6H_2O}\)

 
この反応式を見ると,アンモニア\(\rm{NH_3\ 4}\)分子と酸素\(\rm{O_2\ 5}\)分子が反応して,一酸化窒素\(\rm{NO\ 4}\)分子と水\(\rm{H_2O\ 6}\)分子が生成していることがわかります.

ここで,それぞれの比で各分子が大量に存在するとします.そしてそれらをモル\(\rm{BOX}\)に入れていくとすると,下の図のようにモル\(\rm{BOX}\)の数は係数比と同じになります.

amount of substance

つまり化学反応式の係数比は,各物質量の比(モル比)を表しているということになります.そしてモル比がわかると,粒子数や質量,体積もわかるというわけです!

 
ここで,注意してもらいたいことが\(1\)点あります.
上の図を見るとわかるのですが,反応の前後で原子の種類と総数が変化しないということです.これをドルトンの原子説といいます.

化学反応式を用いた計算問題

では化学反応式を書いて,さらに計算問題を解くという一連の流れを解説していきます.

練習問題 \(2\)
標準状態のプロパン(\(\rm{C_3H_8}\))\(\rm{4.4\ g}\)を空気中で完全に燃焼させた.ただし,原子量は\(\rm{H = 1.0}\),\(\rm{C = 12}\),\(\rm{O = 16}\)とする.
 
(\(1\))このときの化学反応式は?
(\(2\))この反応で生成する二酸化炭素の体積は,標準状態で何\(\rm{L}\)か?
(\(3\))このとき生成する水の質量は何\(\rm{g}\)か?
(\(4\))このとき燃焼に必要な酸素の体積は,標準状態で何\(\rm{L}\)か?

(\(1\))プロパンの燃焼反応式

今回の問題では,最後まで読むと生成物がわかりますが,生成物が明確に記されていない問題も多くあります.そこで,燃焼反応式についてはここで確実に書けるようになっておきましょう!

完全燃焼とは,「ある物質が酸素と完全に反応する」という意味です.そのため,左辺はもとの物質(今回でいえばプロパン)と酸素(\(\rm{O_2}\))になります.

 
問題は→の右側部分です.
ここで必ず覚えておいてほしいことがあります.それは燃焼する物質(今回でいえばプロパン)が\(\rm{C}\),\(\rm{H}\),\(\rm{O}\)のみからなる物質は,右辺では\(\rm{CO_2}\)と\(\rm{H_2O}\)になります.例外はないので,覚えておいてくださいね!

【\(\rm{C}\),\(\rm{H}\),\(\rm{O}\)のみからなる物質の完全燃焼】
 
\(\rm{C}\),\(\rm{H}\),\(\rm{O}\)のみからなる物質を完全燃焼させると,右辺では\(\rm{CO_2}\)と\(\rm{H_2O}\)になる!

すると今回の問題では,プロパン\(\rm{C_3H_8}\)から\(\rm{CO_2}\)と\(\rm{H_2O}\)が生成することがわかります.

\(\rm{C_3H_8 + O_2 → CO_2 + H_2O}\)

 
そしてここから係数を合わせていきましょう!着目物質は\(\rm{O}\)を最後として,\(\rm{C→H→O}\)の順に見ていきましょう.

 
①\(\ \rm{C}\)
左辺の\(\rm{C:3}\)

右辺の\(\rm{CO_2}\)の係数を\(3\)にします.

\(\rm{C_3H_8\ +\ O_2\ →\ }\)\(3\)\(\rm{CO_2\ +\ H_2O}\)

 
②\(\ \rm{H}\)
左辺の\(\rm{H:8}\)

右辺の\(\rm{H_2O}\)の係数を\(4\)にします.

\(\rm{C_3H_8\ +\ O_2\ →\ 3CO_2\ +\ }\)\(4\)\(\rm{H_2O}\)

 
③\(\ \rm{O}\)
最後に\(\rm{O}\)について係数合わせをしていきます.
右辺の\(\rm{O:6 + 4 = 10}\)

左辺の\(\rm{O}\)が\(2\)個なので,\(\rm{O_2}\)の係数を\(5\)倍にします.

\(\rm{C_3H_8\ +\ }\)\(5\)\(\rm{O_2\ →\ 3CO_2\ +\ 4H_2O}\)

(\(2\))二酸化炭素の体積

先ほど求めた化学反応式を用いて考えていきます.

まずプロパンの物質量を求めていきます.プロパンの分子量は\(44\)なので,以下のようになります.

\(\rm{C_3H_8}\)の物質量\(:\large \frac{4.4}{44} \small = 0.10\ \rm{mol}\)

 
ここで,プロパンと二酸化炭素を反応式の係数を比較します.
すると,\(\rm{C_3H_8→CO_2}\)で係数が\(3\)倍になっているので,\(\rm{0.10\ mol}\)のモルBOXが\(3\)個あることになります.つまり,モルBOX\(1\)箱ずつは\(\rm{0.10\ mol}\)が入っているので,全部で\(\rm{0.10 × 3 = 0.30\ mol}\)となります.そしてこの値に\(22.4\)をかけることで,\(\rm{CO_2}\)の体積を求めることができます.

\(\rm{CO_2}\)の体積\(\rm{:0.30 × 22.4 = 6.72\ L}\)

図を書いてしっかりとおさえておきましょう!

amount of substance calculation

 
今回の解説で出てきた物質量やモルBOXという考え方については以下の記事で丁寧に解説しています.すぐに読めるので,ぜひ読んでみてください!

【化学の超基礎】モル計算の瞬殺的方法を徹底解説!|モルBOXって知ってる?
物質量の計算方法について初学者に向けて徹底解説していきます.物質量って結局どういう概念なの?,物質量を使った実際の計算方法とは?を特にポイントとしています.昨日の自分より少しでもレベルアップしていきましょう!

(\(3\))水の質量

\(\rm{C_3H_8}\)の物質量がわかっているので,\(\rm{C_3H_8}\)と\(\rm{H_2O}\)の係数を比較します.\(\rm{C_3H_8→H_2O}\)で係数が\(4\)倍になっているので,\(\rm{0.10\ mol}\)のモルBOXが\(4\)個あることになります.

\(\rm{H_2O}\)の物質量\(\rm{:0.10 × 4 = 0.40\ mol}\)
そして\(\rm{H_2O}\)の分子量は\(18\)なので,\(\rm{H_2O}\)の質量は以下のようになります.

\(\rm{H_2O}\)の質量\(\rm{:0.40 × 18 = 7.2\ g}\)

amount of substance calculation

(\(4\))酸素の体積

今度は\(\rm{C_3H_8}\)と\(\rm{O_2}\)の係数を比較します.\(\rm{C_3H_8→O_2}\)で係数が\(5\)倍になっているので,\(\rm{0.10\ mol}\)のモルBOXが\(5\)個あることになります.つまり,全部で\(\rm{0.10 × 5 = 0.50\ mol}\)となります.そしてこの値に\(22.4\)をかけることで,\(\rm{O_2}\)の体積を求めることができます.

\(\rm{O_2}\)の体積\(\rm{:0.50 × 22.4 = 11.2\ L}\)

amount of substance calculation

 
 
今回は以上となります.
化学反応式を用いて計算をするときは,まず物質量を求めましょう.この物質量が基本となります.そして,各物質の係数を比較して求めたい物質のモルBOXが何箱になるか求めましょう!

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