【気体の状態方程式】関係性をスッキリ理解!

物質の状態
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今回はいよいよ気体の法則について学習していきます.
ボイルの法則やシャルルの法則が実際の問題で上手く使えないといった方は
是非最後まで読んで下さいね!
必ず得意分野にしていきましょう!
それでは,今日も頑張っていきましょう!!

 

\(\rm{You Tube}\)ではより具体的な問題を解説しているので,ぜひそちらもご覧ください!

【京大院卒が解説】気体法則の問題を状態方程式を解かずに解く方法、教えます!(#2)

気体法則

気体法則については,まず気体の状態方程式をしっかりと覚えてください.

この状態方程式は,ボイルの法則やシャルルの法則,アボガドロの法則が含まれた式となっています.

それでは,それぞれの法則を見ていきましょう!
 

ボイルの法則

ボイルの法則は,容器に密閉した気体を,温度一定の条件で圧縮し,圧力が\(2\)倍になると,気体の体積が\(\large \frac{1}{2}\)倍にあるという法則です.
つまり,圧力と体積は反比例します.

 

【ポイント】
ボイルの法則
\(n,T\)一定のとき,\(pV\ =\ k\ \)(一定)

 
 

【発展】
ボイルは水銀柱を用いて実験を行いました.
図のような片方だけが閉じられたガラス管に一定量の気体を入れ,開いた入口に水銀を注入し実験を行いました.

ここで,海面における大気圧(標準気圧\(1\ \rm{atm}\))は水銀柱\(76\ \rm{cm}\)に相当するため,\(76\ \rm{cmHg}\)と表します.
気相と大気圧がつりあっているため,気相の圧力も\(76\ \rm{cmHg}\)となります.

この状態から水銀をさらに注ぎ,水銀柱が\(76\ \rm{cmHg}\)分気相よりも高くなるようにしました.
この場合,気相の底面から考えていくと,水銀部分では,(\(76\ \rm{cm}\)の水銀)\(+\)(大気圧)となります.
そのため,\(76\ \rm{cmHg}\ +\ 76\ \rm{cmHg}\)なので,\(76\ ×\ 2\ \rm{cmHg}\)となります.
このとき,気相の体積は\(\large \frac{1}{2}\)となりました.
そのため,\(pV\ =\ k\)という関係が導かれました.

シャルルの法則

容器に密閉した気体を,圧力一定の条件で温度を上昇させると,温度が\(1^\circ \rm{C}\)上がるごとに\(0^\circ \rm{C}\)の体積の\(\frac{1}{273}\)増加する.

この中で登場する絶対温度は,考えやすいように定められたものです.
\(-273^\circ \rm{C}\)を\(0\rm{K}\)(ケルビン)とし,セルシウス温度(普段の温度:\(^\circ \rm{C}\))と同じ温度目盛りとしたのが絶対温度です.
以下のような関係にあります.
\(t\ +\ 273\ =\ T\)
一般的に,絶対温度は\(T\)(大文字)で表し,セルシウス温度は\(t\)(小文字)で表します.

先程の式にこの関係を当てはめると,以下のようになります.

【ポイント】
シャルルの法則
\(n,P\)一定のとき,\(V\ =\ kT\)

アボガドロの法則

同温・同圧の条件下では,同体積の気体はその種類に関わらず,同じ物質量の気体が存在するという法則です.

\(\large \frac{V}{n}\ \small =\ k\ (一定)\)

つまりこの式は,単位物質量あたりの体積が等しいということです.
 

気体の状態方程式

先程のボイルの法則とシャルルの法則より,
\(\large \frac{pV}{T}\ \small =\ \large \frac{p_1 V_1}{T_1}\)

またアボガドロの法則より,
\(\large \frac{V_1}{n}\ \small =\ \large \frac{V_2}{n_1}\)
これを\(V_1\ =\ \large \frac{n}{n_1} \small V_2\)に変形して,上の式に代入すると,

\(\large \frac{pV}{T}\ \small =\ \large \frac{p_1 \cdot \left(\frac{n}{n_1} V_2 \right) }{T_1}\)

\(\large \frac{pV}{nT}\ \small =\ \large \frac{p_1 V_2}{n_1 T_1}\ \small =\ R\ (一定)\)

これより,\(pV\ =\ nRT\)という状態方程式が導かれます!
 
 

【コメント】
今まで見てきたように,ボイルの法則やシャルルの法則,アボガドロの法則は全て気体の状態方程式の中に含まれています.
そのため,気体法則に関する問題については,状態方程式だけを考えれば必ず解くことができます!

 

気体定数R

気体定数\(R\)は気体の標準状態を代入することで,値を求めることができます.

ここで標準状態とは,\(1\ \rm{atm}\ =\ 1.013\ ×\ 10^5\ \rm{Pa},0^\circ \rm{C}\ =\ 273\ \rm{K},1\ \rm{mol}\)あたり\(22.4\ \rm{L}\)のことです.

気体の圧力が「\(\rm{Pa}\)」のとき,

【ポイント】
ここで,気体定数を\(8.31\ \rm{kPa\ L/mol\ K}\)と,\(\rm{kPa}\)単位を用いると,後の計算が非常に楽になります!
ぜひ覚えてくださいね!

 

気体の圧力が「\(\rm{atm}\)」のとき,

となります.
これらの数値は問題で与えられるので,覚える必要はないですよ!
 
 

気体の状態方程式の練習問題

それでは練習問題を通して,気体の状態方程式の使い方をマスターしていきましょう!

練習問題1
次の問いに答えよ.ただし,気体定数\(R\ =\ 8.31\ ×\ 10^3\ \rm{Pa\ L/mol\ K}\)とする.
(\(1\))ある気体の密度は\(27^\circ \rm{C},1.013\ ×\ 10^5\ \rm{Pa}\)で\(1.50\ \rm{g/L}\)とする.この気体の分子量は?
(\(2\))\(27^\circ \rm{C},1.0\ ×\ 10^5\ \rm{Pa}\)で\(200\ \rm{mL}\)の気体に,\(27^\circ \rm{C},2.0\ ×\ 10^5\ \rm{Pa}\)で\(500\ \rm{mL}\)の気体を混合し,\(-73^\circ \rm{C}\)に冷却し,体積を\(1000\ \rm{mL}\)とした.このときの圧力は?

(\(1\))
まずは,この問題から考えていきましょう.
この問題を図示すると,以下のようになります.

この問題では,気体図が\(1\)つなので,\(pV\ =\ nRT\)を使いましょう!
ここで,密度\(\large \frac{w}{V}\)で表すことができます.
また,分子量を\(M\)とすると,\(n\ =\ \large \frac{w}{M}\)
よって,
\(p V\ =\ \large \frac{w}{M} \small RT\)
上式に,気体定数\(R\ =\ 8.31\ \rm{kPa\ L/mol\ K}\),圧力を\(101.3\ \rm{kPa}\)を代入すると,

\(M\ =\ \large \frac{w}{V} \frac{RT}{p}\ \small =\ 1.50 \cdot \large \frac{8.31\ ×\ 300}{101.3}\ \small =\ 36.9\)
 

【ポイント】
このように,気体定数と圧力で単位に「k」を用いると,めんどくさい計算を省略することができますよ!

 
 

(\(2\))
まずは気体図を書いていきましょう!

この図から,気体図は\(3\)つなので,物質量である\(n\)の変化を考えていきましょう!!
状態方程式より\(pV\ =\ nRT\)なので,\(n\ =\ \large \frac{pV}{RT}\)です.
それぞれの物質量(モル)に着目すると,下のように考えることができます.

\(n_1\ +\ n_2\ =\ n_3\)

\(\large \frac{p_1 V_1}{RT_1}\ \small +\ \large \frac{p_2 V_2}{RT_2}\ \small =\ \large \frac{p_3 V_3}{RT_3}\)

\(\large \frac{p_1 V_1}{T_1}\ \small +\ \large \frac{p_2 V_2}{T_2}\ \small =\ \large \frac{p_3 V_3}{T_3}\)

\(\large \frac{100\ ×\ 200}{300}\ \small +\ \large \frac{200\ ×\ 500}{300}\ \small =\ \large \frac{p_3 \cdot 1000}{200}\)

\(p_3\ =\ 20\ \rm{kPa}\)

とすると,簡単に求めることができます.
 
 

この問題のポイントは,モルについての和を考えるとき,\(\large \frac{pV}{RT}\)ではなく\(\large \frac{pV}{T}\)で考えていることです.
比を考えているので,気体定数\(R\)は省略してもOKです.
これによって,面倒な計算を省略し,簡単になっています!

【ポイント】

  • 気体図が\(1\)つ→\(pV\ =\ nRT\)を使う
  • 気体図が\(2\)つ→モルの比で計算をする

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