今回はイオン化エネルギーについて解説していきます.
- 同族・同一周期で見たときのイオン化エネルギーの変化
- イオン化エネルギーの急激な変化
を特にポイントとしています.昨日の自分より少しでもレベルアップしていきましょう!
基礎事項を学習するにあたって
基礎的な内容である原子半径やイオン化エネルギーを学習するときに,暗記しておけばいいじゃん!と思っている方も多いかもしれませんが,それでは断片的な知識となってしまいます.今回の記事を読んでいただくとわかると思いますが,原子半径やイオン化エネルギーといった基礎的な事項はすべて密接に関係しています.
そのため,今回でいえば原子半径のなぜ?を理解できていれば,イオン化エネルギーについては簡単に理解してテストで点数が取れるようになると思います!
「急がば回れ」ということで,基礎をしっかりと理解して得点を伸ばしていきましょう!
イオン化エネルギーとは
それではイオン化エネルギーについて徹底解説していきます.
イオン化エネルギーとは,原子から電子を取り去るのに必要なエネルギーのことをいいます.
ということは,イオン化エネルギーの大小は,最外殻電子を取り去るのに必要なエネルギーの大小と言い換えることができます.
この点をしっかりと理解した上で周期表をもとに解説していきます.
同一族(縦)におけるイオン化エネルギーの大小関係
それではまず周期表を縦に見ていきます.
周期表を縦に見るときの最大のポイントは,下に\(1\)段いくほど\(\rm{K}\)殻,\(\rm{L}\)殻,\(\rm{M}\)殻,…というように最外殻が大きくなっているという点です.これは原子半径を考えたときと全く同じポイントです.
すると,下に\(1\)段いくほど中心から最外殻までの距離が大きくなるので,最外殻の電子に働く陽子からの引力は小さくなります.陽子からの引力が小さくなるということは,電子をスッと取り去ることができるようになるので,下にいくほどイオン化エネルギーは小さくなります.
・下にいくと原子半径が大きくなる
→最外殻の電子が原子核から遠くなる
→引力が小さくなる
→電子をスッと取り去れる\(=\)イオン化エネルギーが小さくなる
同一周期(横)におけるイオン化エネルギーの大小関係
次は,周期表を横に見ていきます.
横に見るときのポイントは,原子半径を意識しながら考える点です.原子半径については,以下の記事でまとめています!\(5\)分程度で読めるため,ぜひ読んでみてくださいね!
周期表を横に見たときには,原子半径は右にいくほど小さくなります.原子半径が小さいと,最外殻の電子に作用する引力は強くなるのでイオン化エネルギーは大きくなります.
・右にいくと原子半径が小さくなる
→最外殻の電子が原子核から近くなる
→引力が大きくなる
→電子を取ろうとすると無理やりになる\(=\)イオン化エネルギーが大きくなる
この流れをしっかりと覚えておいてくださいね!
第\(n\)イオン化エネルギーの急激な変化
次に,第\(n\)イオン化エネルギーについて解説していきます.
第\(n\)イオン化エネルギーの\(n\)は,電子を取り去る数という意味です.
つまり,
\(n=1\)のとき,第\(1\)イオン化エネルギー:電子\(1\)コを取り去るのに必要なエネルギー
\(n=2\)のとき,第2イオン化エネルギー:電子\(2\)コを取り去るのに必要なエネルギー
…
というようになります.
そして電子を\(1\)コ取り去ると,原子はマイナス電荷が1つ減るので,\(1\)価の陽イオンとなります.
そのため,どんどん電子を取り除いていくと,
\(\rm{X → X^+ → X^{2+} → …}\)
というように次々とイオンされていきます.
では,どこまでイオン化されるのでしょうか?
このとき考えるのに重要なのが,「希ガス配置を見つける!」ということです.希ガス配置は非常に安定しているので,そこから電子を取り去るにはとても大きなイオン化エネルギーが必要となります.そのため大抵この時点でイオン化は終わってしまいます.
わかりやすくするために例として,\(\rm{Na}\)を考えてみましょう.
電子を\(1\)コ取り去る第\(1\)イオン化エネルギーはそれほど大きな値ではありません.そして\(1\)コ電子を取り去った\(\rm{Na^+}\)は,希ガス配置となります.希ガス配置になると,すべての電子の席が埋まっていて,電子はみんな仲間とともに気持ちのいい状態になります.仲間の電子をさらに\(1\)コ取ろうとすると,みんなが嫌がって,非常に大きな力で無理やり取り去る必要があるというわけです.
もう\(1\)つ例として,\(\rm{Mg}\)を考えてみましょう.
\(\rm{Mg}\)には最外殻に\(2\)コの電子があるため,第\(2\)イオン化エネルギーまではそれほど大きな値ではありません.そして\(2\)コの電子を取り去った状態で希ガス配置となり,これ以上電子を取り去ろうとすると,仲間電子の強力な反発にあうというわけです.
今までの例を見てきたように,第\(n\)イオン化エネルギーを考えるとき,
族番号の数だけ電子を取り除いたときが希ガス配置
となります.これを必ず覚えておくようにして下さいね!そしてそれ以上の電子を取り去ろうとするときには大きな力が必要になり,そこでイオン化エネルギーが最大になります.
イオン化エネルギーのまとめ
それではイオン化エネルギーのまとめです.
周期表を縦と横に分けて考えることで,周期表におけるイオン化エネルギーの特性を理解することができましたね!それらの\(2\)つを合わせて考えると,右上にいくほどイオン化エネルギーは大きくなります.
テストなどによく出てくるイオン化エネルギーのグラフも載せておきますね!このグラフを見ると,希ガスでイオン化エネルギーが最大になっていることが鮮明にわかると思います!
(参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/イオン化エネルギー)
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